No.50 渡来人ゆかりの神社と、神社の起源をめぐる見方
秦氏の伏見稲荷大社や松尾大社、高句麗の王族をまつる高麗神社、新羅の王子の天日槍をまつる出石神社など、渡来人ゆかりの神社は各地にある。神社の起源そのものに朝鮮半島の影響を見る説もある。
本文と出典
古代の日本には、朝鮮半島や中国大陸から多くの人々が渡ってきました(渡来人)。
養蚕や織物、土木、焼き物などの技術を伝え、各地に住みついて、自分たちの神をまつりました。
【秦氏ゆかりの神社】
秦氏は代表的な渡来系の一族で、いまの京都に根を張りました。
伏見稲荷大社:和銅4年(711年)に秦伊呂具(はたのいろぐ)がまつったのが始まりと伝えられます。
松尾大社:秦氏が一族の神としてまつった神社で、のちに酒造りの神としても信仰されました。
木嶋坐天照御魂神社(このしまにますあまてるみたまじんじゃ):三本の柱を組んだ珍しい三柱鳥居で知られ、秦氏ゆかりの神社とされます。
【渡来した人物をまつる神社】
高麗神社(埼玉県日高市):高句麗から渡来した若光(じゃっこう)をまつります。霊亀2年(716年)に高麗郡が置かれ、若光がその開発にあたったと伝えられます。
出石神社(兵庫県豊岡市):『古事記』や『日本書紀』に新羅の王子として出てくる天日槍(あめのひぼこ)と、天日槍が持ってきたという八種の神宝をまつります。
【寺を守る渡来の神】
滋賀県の園城寺(三井寺)の新羅明神や、比叡山の赤山明神のように、渡来の神が寺を守る神としてまつられた例もあります。
【神社の起源をめぐる見方】
神社のもとになった信仰を、日本で生まれたものとみる見方がある一方で、朝鮮半島の影響を重く見る説もあります。
たとえば岡谷公二『神社の起源と古代朝鮮』は、朝鮮半島の村にある「堂(タン)」と呼ばれる聖地(大きな木や岩をまつり、森に囲まれた場所)と、日本の鎮守の森や御神木との共通点を指摘しています。
どちらの見方にも根拠と限界があり、神社の起源は一つの答えに決まっているわけではありません。
【参考にした資料】
『神社の解剖図鑑』(米澤貴紀)、『神道と神社の秘密』(歴史研究会)、『神社の系譜』(宮元健次)、『なぜ八幡神社が日本でいちばん多いのか』(島田裕巳)、『神社の起源と古代朝鮮』(岡谷公二)、『総図解 日本の神社』(渋谷申博)、『神社に秘められた日本史の謎』(新谷尚紀)
情報・意見(0件)
情報や意見を書くにはログインが要ります(読むだけならログインは要りません)。